平沼赳夫先生のお話
脳梗塞から回復
私の不注意から皆さんにたいへんご迷惑をおかけしたことを、先ずお詫びします。昨年の12月6日に脳梗塞になりました。今は回復して、声だけがもうチョットという状態です。
ご承知のように、私は小泉龍司さんと同じく、郵政民営化法案に反対しました。それまで26年間、私は一生懸命に自民党に尽くして来ました。そういう私に対して、先の衆議院選挙で小泉総理はヤクザ言葉でいうヒットマン(刺客)を放って来ました。女性候補ですから正確にはヒットウーマンというべきですが、この女性候補に対して、小選挙区では4万票の差をつけて私は勝ちました。この落選した女性候補は、比例の第1位ということで復活当選し、現在議員でいます。
この選挙で無所属で当選した人が私も含めて12名います。自民党の方から復党してほしいということになり、私がその交渉役として折衝して来ましたが、誓約書を出してくれということになり、私は自分の信条から復党願は出しましたが、誓約書は出しませんでした。私以外の11名には誓約書を出してもらい全員に復党していただきました。復党が決まり、お祝いをしようということで、12月6日に私の事務所に全員が集まり、私が乾杯の音頭を取りました。その直後、地球がぐるぐる回り出しまして、私の体は横になることを欲していましたが、私も日本男児ですから、そういう見っともないまねはできないということで、畳に両手を突っ張ったままの状態で40分間辛抱しました。そんなにがんばらず、もっと早く手当てをすれば、あるいはもっと軽く済んだのかも知れませんが、とにかくがんばり通したのです。
なぜ、郵政民営化に反対したか
さて、私がなぜ郵政民営化法案に反対したかということですが、自民党の良き伝統として、議論を尽くすということがあります。党の部会というものが先ずありまして、ここで充分に議論し、意見を集約したものが、次に政務調査会に回されます。ここでも充分に議論し、さらに党の最高決定機関である総務会に回されます。この総務会での議論は、たとえ反対があっても、まとまった結論については、全会一致で承認という運びになるのが通例です。ところがこの時の総務会長はのちに防衛大臣をつとめた久間氏でしたが、まだカンカンガクガクの議論をしていて騒然とする中にもかかわらず、いきなり多数決を取りますと言い出しまして、賛成が7名、反対が5名、残りの19名は騒いでいてわからないという状態で、決を取ってしまいました。しかも、その後の国会の委員会では、直前に委員を差し替えて全員賛成の議員ばかりで可決してしまいました。これでは小泉龍司さんばかりでなく、誰だって怒ります。私も怒りました。しかも本会議を前に、あらゆる手段を使って反対の議員を威嚇・恫喝したのです。そのかいあってか、衆議院では5票の差で可決されました。
郵政民営化の危険なところ
しかし、この郵政民営化にはたいへん危険なものがあるのです。このことにつきまして日米政府の間で17回の交渉が持たれているのですが、そのうち7回にアメリカの保険会社の社長が同席しているのです。政府間の話し合いに民間の人間が加わるということがそもそもおかしいことなのです。これは簡保が有する巨大な資金121兆円にかかわりがあります。
年次改革要望書の存在については、皆さんもお聞き及びのことと思いますが、これは1993年のクリントン・宮沢会談で合意を見たものです。翌年の1994年から毎年アメリカ政府から日本政府に対して要望書というものが手渡されています。司法改革・会社法の改正・建築基準法の改正等々、みんなこの要望書に基づいて行われています。建築基準法など、阪神大震災の後ですから相当厳しくなると思うのが普通ですが、かえって基準はやわらかくなり、建築確認が民間でもできるようになった結果、早く安くということになり、姉歯氏のような人も出て来ることになったのです。
また、会社法の改正では、三角合併といって、時価で評価される株を使って会社の買収が出来るようになりました。株価の高いアメリカの企業には有利で、総じて株価の低い日本企業にとってはたいへん不利な条件となりました。
アメリカ企業のしたたかさ
アメリカの企業がいかにしたたかであるかという例ですが、日本長期信用銀行の問題があります。バブル経済の崩壊後、不良債権をかかえて経営が困難になった同行に対し、日本政府は8兆円という巨大な資金を投入して立て直しを図りました。みなさんの大切な税金を使ってです。それだけの巨額な資金を投入したものを、日本政府はわずか10億円という金額でアメリカのリップルウッドという会社に売ってしまったのです。そしてこのリップルウッドは、この長銀に新しい装いを凝らして新銀行として発足させ、2,200億円という株式を発行し、400億円という純利益を上げたのです。こういうことがまかり通っているのです。
地元選挙区で
いま、選挙区へ私が帰りますと、皆さんが言います。平沼さんの言ったことは「ほんまじゃったなあ」と。ある村の郵便局では、郵便局員の数が11名から2名になり、集配業務もできなくなりました。年金を下ろすにも、峠を越えて町の郵便局まで行かなければ用が足せなくなってしまったのです。私どものところでは郵便局の職員を「郵便さん」といって親しみを込めて呼んでいました。「赤いハンカチ」といって、赤地に郵便のマークを白く染め抜いた布を軒先に吊るしておきますと、郵便配達の職員さんが寄ってくれて、例えばおばあさんが自分の年金から2万円下ろしてほしいと頼みますと、配達の仕事のついでにきちんと下ろして来てくれたのです。ところが民営化になり、保険は保険、配達は配達ということで、それぞれ会社が別々になった結果、そういうことも出来なくなってしまいました。
日本を立て直すために
こうした日本を立て直すためにも、小泉龍司さんのような信念のある政治家がどうしても必要です。私も一生懸命に小泉龍司さんを応援しますので、どうか皆さんもこの小泉龍司さんを育ててほしいと思います。このことを心からお願いして、私の話を終わります。


