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日本をアメリカ型社会にしてはいけない

text by

小泉龍司

2006.03.16

 最近、国会の論戦や新聞紙上で、貧富の差の拡大や学力低下などの問題を含めた、いわゆる「格差問題」が頻繁に取り上げられるようになってきました。
 私は、政治を志してからのこの10年来、この問題への対応の必要性を唱え、国会においても、最重要課題として、懸命にこの問題に取り組んできました。
 昨今、日本の中流社会が崩れていく姿が現実のものとなりつつある状況の中で、にわかに議論が高まってきています。
 「格差」を乗り越え、「努力すれば報われる社会」を維持するためには、どうすればよいのか。
 この冬、5回にわたり、地元各地で講演をさせていただく機会を得ましたが、その折に、講演させていただいた内容の要旨を以下に掲載させて頂きます。

「3つの格差」−官と民の格差、都市と地方の格差、強者と弱者の格差が広がっている。
これを乗り越えるためには3つの政策が必要である。

  1. 官のリストラ
  2. 公平な競争の土俵を作ること
  3. 教育改革による学力格差の解消

1.官のリストラ

  1. 年金資金の無駄使い(大型保養施設)に見られるような官(政府)による税の無駄使いを徹底的に見直し、改めさせること。
  2. 議員、公務員の年間の給与総額は約30兆円。国会議員の給与をまず率先して3割カット。続いて、民間に比べ高い水準になっている公務員の給与も1〜2割削減する必要。

2.公平な競争の土俵を作ること

  1. 現在は同じスタートラインに立った競争になっていない。
    1. 大都市の景気回復が地方に波及してこない
      −下請けの中小企業に強いコストダウンの圧力がかかっている結果
    2. 市街地の商店街の地盤沈下
      −郊外型大規模スーパーの影響
    3. 農業所得の低迷。後継者難
      −コストアップの一方で価格はスーパーが決める
  2. 「公平な競争の土俵」を作るため
    • 中小企業を支える新しい金融の仕組み
    • 大型スーパーに対する出店規制
    • 農業を支える直接所得補償(農家に直接経営資金を補填する)の仕組みなどを整えることが必要不可欠。

3.拡大する所得格差に歯止めをかけるには「教育改革」も重要

  1. 公立校と私立校の格差が生じる中で、学力(学歴)の格差も広がっている。
  2. 公立校の充実。基礎学力習得のため、少人数学級の導入が必要。

4.グローバリゼーションの中で「利益追求をすべてに優先させる」アメリカ型資本主義をそのまま受け入れていくと、貧富の差が大きく拡大する

  1. 日本の貧困者の数はアメリカの水準に近づいている。
     (貧困率は日本15%、アメリカ17%で、先進国中第2位)
     アメリカはトップ1%のお金持ちが国富の50%を独占する「格差社会」
  2. 日本でも「勝ち組」と「負け組」の差が広がり、その中で「自分の利益」を最優先することに人々の心が流され、耐震構造偽造問題、ライブドア事件に見られるように、社会モラルの低下が著しい。

5.日本人は今一度、落ち着いて日本の社会のあり方を考えなけらばならない

  1. 「官から民へ」と言われるが、「官(権力)」と「民(利益追求)」の間にもう一つ、「公=パブリック」という考え方があることを忘れてはいけない。
  2. 「努力すれば報われる社会」を作るためには、努力以外の要素で決まってくる部分をならして「公平な競争」の土俵を作ることが必要であり、それが「公=パブリック」の考え方である。
  3. また、物質的豊かさと利益の追求を優先する(他者を敵視する)考え方に対し、日本人が受け継いできた豊かな精神性と、社会を共に支え合うというパブリックな価値観を、我々は今一度、落ち着いて取り戻さなければならない。
  4. すべてを「マーケット」に委ねてしまえば、格差は取り返しがつかないくらい広がり、人々の心は荒廃し、社会は安定を失う。
    国は強くなるかもしれないが、一人一人の個人を幸せにすることはできない。
  5. 「自由競争」を基本としながら、はじめに述べた「3つの格差」を乗り超え、共に支え合いながら、「努力すれば報われる社会」を作るために、具体的な政策を実行して行くのが政治の役割であり、私小泉龍司の使命であると考えております。