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後援会報(2006年1月号)に掲載した「りゅうじの談話室」

text by

小泉龍司

2006.06.28

◆聞き手=小泉龍司レポート編集委員・新井慎一(深谷市)

二人の小泉の戦い

聞き手
本日は、小泉さんにおかれましては、ほんとうにお忙しい中、こうして親しくお話を聞かせていただく機会を得まして、有り難うございます。さて、去る1月 21日に開催されました「小泉龍司・新春の集い」における上田埼玉県知事のお話の中で、「先の郵政民営化法案をめぐる衆議院選挙は二人の小泉の戦いであった」という一節がありました。「一人は郵政民営化法案の成立にあくまでもこだわり、執念を燃やし続けた小泉純一郎首相。そしてもう一人は同法案の不備を指摘し、これが地方や弱者の切り捨てにつながるものだとして反対し、あくまでも自己の信念をつらぬいた小泉龍司氏。勝敗はいずれにしろ、お互いに立派なものであった。」というものでした。
小泉
確かにそういう面もありましたが、今回の選挙の争点にならず、もっと大事で議論すべき問題が、ほんとうはあったのではないか、といまは考えています。

格差社会が広がっている

聞き手
例えば、どんなことでしょうか?
小泉
まず、第一に、格差社会が広がっているという問題です。官と民の間、都市と地方の間、強者と弱者の間、それぞれの間に確実に格差が広がっています。
聞き手
いわゆるアメリカ化の問題ですね。アメリカでは、現在、全国民の1パーセントの人間が全国の富の5割を独占しているといいます。また、国民の所得の平均値の半分に満たない層を貧困層といい、これが国民の間に占める率を「貧困率」といいますが、これも年々上がって日本は15%で、世界で第5位、先進国ではアメリカ(17%)に次いで第2位という結果になっています。

格差社会をなくす3つの政策

小泉
その通りです。これを乗り切るためには3つの政策が必要だと思っています。
1.官のリストラ
2.公平な競争の土俵をつくること
3.教育改革による学力格差の解消
以上の3つです。
聞き手
それぞれについて、わかりやすく説明していただけますか。
小泉
まず、最初の「官のリストラ」ということですが、年金資金を使って大型の保養施設をつくるなど、官(=政府)による税金の無駄使いを止めさせることです。次に、総額で約30兆円にも上る議員や公務員の年間給与ですが、先ず国会議員の給与を3割カットし、続いて公務員の給与も1〜2割カットします。
聞き手
「公平な競争の土俵をつくること」については、いかがですか?
小泉
たとえば、景気はいま回復基調にあるといいますが、それが地方に波及してこないのはなぜでしょうか?下請けである中小企業に強いコストダウンの圧力がかかっているからです。また、郊外型大規模スーパーの影響で市街地の商店街は軒並み地盤沈下しています。さらに、農業の分野では、人件費等の関係からコストがアップする一方で、価格は取引先であるスーパーが決めるというように、農業所得は低迷し、後継者難の状態が続いています。
聞き手
そのためには何をしたらよいと、小泉さんはお考えですか?
小泉
まず、中小企業を支える新しい金融の仕組みをつくり出すことです。次に、大型スーパーに対する出店規制を強化すること。最後に、農業を支える直接所得補償の仕組み、これは農家に直接経営資金を補填(ほてん)して上げるということですが、そうした制度を整えること。こうした施策が必要であると考えています。
聞き手
それでは、最後に「教育改革による学力格差の解消」ということですが、現在、公立校と私立校の間で格差が生じる中で、学力や学歴の格差も広がっているといわれています。
小泉
はい、そうした傾向に歯止めをかけるには、公立校、私立校と共に充実させることが重要です。その一つの方策として、私がこの十年来主張していることですが、少人数学級の導入はどうしても必要なものだと思います。

日本という社会のあり方

聞き手
以上のことをふまえた上で、今後の国のあり方といいますか、社会のあり方について、お考えになっているところをお聞かせ下さい。
小泉

日本人はいま一度、落ち着いてこの日本という社会のあり方を考えなければならないと思っています。

  1. 「官から民へ」といいますが、「官(=権力)」と「民(=利益追求)」の基礎には、「公(=パブリック)」ということがあることを忘れてはいけないと思います。
  2. すなわち「努力すれば報われる社会」をつくるためには、都市部に住むか山間部に住むか、資本力の大小など、努力以外の要素で決まっていく部分を均(なら)して「公平な競争」の土俵をつくる必要があります。スタートラインが違えば、はじめから勝ち負けが決まってしまいます。それは「公平な競争」ではありません。だからこそ、先に述べたような中小企業への金融のサポート、大型スーパーの出店規制、農業へのサポートなどの施策が必要になります。「教育」への配慮も必要になります。「努力すれば報われる社会」をつくり、共に支え合っていく社会をつくっていくためには、一握りの勝者と多くの敗者を生み出す、いまの仕組みを変えていかなければなりません。
  3. すべてを「マーケット(=市場原理)」に委ねてしまえば、格差は取り返しがつかないくらい広がり、「弱肉強食」の社会の中で、人々の心はどんどん荒廃していきます。物質的な豊かさと利益の追求のみを優先する考え方は、他者を敵視することにもつながります。こうした考え方に対し、日本人が古来から受け継いできた豊かな精神性と、社会を共に支え合うという気持ちを、私たちはいま一度、落ち着いて取り戻さなければならないと考えています。他者を打ち負かすことのみにとらわれるのではなく、弱者にも配慮し、「公平な競争」を通じて、社会全体を共に支え合っていくという考え方こそ、「公(=パブリック)」の考え方なのです。
  4. その方向に政治の流れを根本的に変えていくことこそ、現在の国政の役割であり、私小泉龍司の使命であると考えています。

共にがんばりましょう!

聞き手
現在の日本では「自分だけよければいい、いまがよければいい」という考え方があまりにもはびこり過ぎているように思われます。混迷の原因もまたそこにあるのではないでしょうか。深谷市出身の実業家で近代日本経済の父ともたたえられる渋沢栄一翁も「万人が富んでこそ真の社会の富である」とおっしゃっています。共に支え合い、共に助け合う社会の実現を目指して、小泉さんにおかれましては、ご健康に留意され、ますますご活躍いただきますよう、心からお祈り申し上げます。本日は、貴重なお話を、有り難うございました。
小泉
こちらこそ有り難うございました。より良い社会をつくるために、今後とも皆さんといっしょにがんばっていきたいと思っています。共にがんばりましょう!