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「これまでの改革」と「これからの改革」−官から民へ、そしてパブリックへ−

text by

小泉龍司

2007.05.17

 新しい日本社会の理想像は、「官から民へ」ではなく、「官から民へ、そして公(パブリック)へ」です。
 官(権力)と民(利益追求)は人間を動かす最も大きな力(動機)であることは、間違いありません。しかし官(権力)は腐敗します。民(利益追求)を最優先すれば、人は多くのものを見失います(経済格差の拡大・モラルの低下など)。

 「これまでの改革」は、官を否定し民を生かすことのみに重点をおいてきました。
 その結果、国は責任を免れ、国民が自己責任を負うアメリカ型社会へと、日本の社会は変化しつつあります。

 あなたは「貧困」や「病気」もすべて「自己責任」(貧困であるのも病気になるのも、すべてあなたの努力が足りなかったせいなのだから、人に頼ることはできません。自分で責任をとってください)というアメリカ型社会を本当に望んでいますか?
 トップ1%のお金持ちが国全体の富の50%を独り占めする、アメリカの格差社会を本当に望んでいますか?

 競争も自己責任も大切です。
 しかしそれによって、個々人が自分の利益のみを求めることに汲々となり、バラバラになってしまえば、貧困、病気、高齢化・少子化、教育と心の荒廃、環境汚染による生命の危機といった問題を解決することはできません。

 経済は着実に成長しているのに、なぜ、より貧困になっていく人がいるのでしょう?自殺率は、なぜ他の先進国に比べて、異常に高いのでしょう?なぜ無責任な(ずさんな管理・点検による)事故が続くのでしょう?残虐な犯罪やいじめが、なぜ増加するのでしょう?食糧自給率は、なぜ下がり続けるのでしょう?

 単純な「官から民へ」という発想にとどまっていたのでは、これらの問題を解決することはできません。
 では、一体何が欠けているのでしょうか?それは「お互いが苦しい時に助け合い、弱いところを補い合う力」です。

 社会を支える力は、決して「官と民」だけではありません。より大きな力は、「皆が支えあうというパブリック」の力です。

 これからの日本の未来を不安なく受け入れられるものにするためには、この考え方を、早急に具体的な政策に織り込んでいく必要があります。
 それが「これからの(新しい)改革」です。そのことに早く気づかなければ、すべては手遅れになります。
「人は一人では生きていけないのです」
「人は支え合わなければ、幸せになれないのです」