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介護事業をめぐるコムスンの不正行為

text by

小泉龍司

2007.06.20

 介護事業をめぐるコムスンの不正行為が大きな社会問題になっている。コムスンが故意に不正行為を繰り返し、あげくに処分逃れをしていたという、悪質な行為は、それ自体極めて重大な問題であるが、さらに、重要なことは、介護という非常に公共性が高く、かつ公金を使う仕事でありながら、全くそのことを顧みず、ひたすら私的利益の追求に走った、この企業の体質である。

 毎日新聞のコラムでも指摘されていたが、単に官から民へ介護を移せば済むわけではない、ということを我々は学んだ。「他者を尊重するという公の精神-かねて私が主張しているパブリックの精神」が根底になければ、公共性が高い、介護事業の適切な実施はできない。パブリックの精神は、官の論理とも利益追求の民の論理とも、明らかに違う。

 すべてを民に任せ、それで良しとする単純な二分法的な考え方に、今回の事件は大きな教訓を与えてくれた、との声を多く聞く。

 「公共性」という価値観を日本人が取り戻すには、どうすれば良いのか。非常に難しい問題であるが、そのことが、現在の日本と日本人に求められている最も大切な課題であることは、間違いない。その価値観のベースがあってこそ、民の活力も官の役割も、はじめて、十分に生かされるのだと思う。

 政治が先頭に立って、「公共性」(パブリック)への理解を国民に求めるべき時、それは、今である。