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介護職員の待遇改善こそが急務

text by

小泉龍司

2007.06.22

 テレビのドキュメンタリー番組で、若い情熱を持った優秀な介護福祉士が、仕事にも慣れ、これからという時に結婚適齢期を迎え、婚約を契機として退職していくケースが非常に多いということを、現場の取材を通じて指摘していた。

 志をもった優秀な人材が、福祉の現場をやめていくのはなぜか。

 番組では、介護福祉士の平均的収入では結婚して家族を養っていけないということを、最も大きな理由としてあげていた。

 そのことが厚生労働省の調査で、明らかになった。2004年現在で、介護福祉士の資格所有者は約41万人いるが、その中で実際に社会福祉の現場で働く人は約23万人しかいない。全体の4割にあたる約18万人は資格をもつにもかかわらず、社会福祉の職に就いていない。その背景には、給与・待遇の水準の低さがある。介護職員を対象とした調査では、不安や悩みの理由として48%の職員が「給与が低い」、44%の職員が「有給休暇が取りづらい」という点をあげていることが明らかになった。

 こうした状況の下で、特別養護老人ホーム等では人手不足が深刻化し、常に求人を行わなければ、ヘルパーの確保ができないという実情が新聞などでも報道されている。

 一方で昨年の「医療制度改革」により、「療養型病床群」を持つ病院を老人保健施設や有料老人ホームに転換させるという方針が決まった。全国の療養型病床数を、現在の38万病床から15万病床へ、なんと6割カットすることが決まったばかりである。

 療養型病床の大幅削減には大きな問題があり、これについては稿を改めて述べることとするが、その受け皿となるべき介護施設の方では人手不足が深刻さを増すばかりでは、高齢者は一体誰を頼れば良いのであろうか。

 厚生労働省の調査によれば、介護職員の平均的給与(税や諸手当を含む)は、長時間労働であるにもかかわらず、20万8千円である。全産業平均が30万円を超えていることにくらべると、非常に低いといわざるを得ない。平均値であるから、かなりの割合の職員が10万円代の給与しかもらっていない。

 厳しい仕事であることを覚悟の上で、介護福祉士の資格を取った熱意あふれる若者が不本意にも生活上の理由から辞めていかざるを得ない現実は、まさに高齢化社会の根幹にかかわる大きな問題である。

 頼れる人がいなくなる高齢者と、生きがいや働きがいを失う若者達。双方のために、介護福祉士を含め、介護職員の待遇改善こそが今、急務である。