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久間防衛大臣の辞任

text by

小泉龍司

2007.07.04

 久間防衛大臣が、講演で、米軍による原爆投下を「しょうがない」と発言したことが、大きな波紋を広げ、昨日(7月3日)、大臣を辞任した。

 原爆投下により、無差別に広島、長崎の市民が殺戮されたことを、「大臣」である以前に、一人の人間として、どう考えるのか、そのことが問われたのだと思う。そもそも、命の尊厳への理解、今も苦しむ遺族や被曝者の方々への思い、そしてあらゆる戦争を否定する確固たる意思が欠如している、と言われても仕方がない発言であった。かつて、日本が辿った戦争への道は、こうした指導者の誤りにより、導かれたのだと思う。

 日本による開戦も「しようがない。」特攻も「しょうがない。」と、同じ論理で戦争が導かれ、多くの国民が悲惨な最後を遂げた。

 そして今日もなお、いかなる論理であれ、原爆投下を正当化する政治家が存在するとすれば、そうした政治状況の中で、憲法9条第一項及び二項の改変を議論しても、本当に大丈夫なのか?そのことを強く危惧するのは、私だけではないはずだ。

 「国民の人間としての倫理」と「政治家としての論理」は、このようにして乖離するのだということを、多くの国民が目の当たりにしたはずだ。

 このことを胆に銘じて、外交・防衛問題をそして憲法のあり方を、常に、国民の良識に照らし合わせながら、考えていく必要がある。今回の事件の大きな教訓であると思う。