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政治資金とは何か『政治資金は、「すべての政治団体について1円から」領収書の添付を』

text by

小泉龍司

2007.07.25

1.改正政治資金規正法の問題点

 先の国会で、与党の賛成で成立した改正政治資金規正法が「ザル法」であるとの批判を浴びている。改正法は、政治家一人に一団体の設立が認められている「資金管理団体」(注:最下部参照)にだけ限定して、「5万円以上」の経常経費支出(人件費を除く)に領収書添付を義務づけるという内容である。しかし、これでは、相次ぐ閣僚の不明朗な事務所費問題にも、対処することができないことは明らかである。 政治家は複数の政治団体をもつことができる。「○○後援会」「○○の会」等、資金管理団体以外の政治団体に経費を分散してしまえば、領収書添付義務を免れることができる。5万円未満に支出を小口化するという抜け道もある。

 こうした批判を受けて、自民党は事務所費に限って、その支出を資金管理団体に一本化する党内の「内規」を定める方針を決定したが、「内規」では実効性に疑問があり、さらに一本化することにより、複数の政治団体の実態がよりわかりにくくなる(透明性が下がる)という問題がある。

2.「政治資金」とは何なのか?

 そもそも「政治資金」とは何なのか?政治資金はどういう性格をもつ資金なのか?という原点にさかのぼって、この問題を考えていく必要がある。第一に、政治資金には課税されない。政治活動という公の活動、その公共性に免じて課税が免除されている。従って、政治資金がもし、私的な使途に流用されているとしたならば、それについては、当然、所得税等が課税されるべきである、ということになる。不明朗な政治資金の内に、もし私的な流用があるとすれば、それは脱税していることに等しい。だからこそ、政治資金の使途の厳格な透明性が求められるのである。

 第二に、政治資金には、「税金」が含まれている。現職議員の政治団体に個人が寄附をした場合、所得税の控除が認められる。ある個人が3万円の寄附をし、1万円の所得税の控除が行われた場合、政治団体は+3万円、寄附をした個人は-2万円、国庫は-1万円(納められる所得税が1万円減るので)ということになる。

 すなわち、国もこの政治団体に1万円を寄附したことになるのである。これは政治資金のもつ大きな特権である。また、法人が政治資金パーティーのパーティー券を購入した場合には、寄附金控除限度額(ケースによっては、交際費限度額)の範囲内で、法人税の控除を受けることができる。この場合にも、個人の場合と同様に、国から寄附が行われたことになる。従って、寄付者への(税額)控除という特典をもつ政治資金には、「税 控除」を通じて国庫から「税金」が流入しているのである。このように政治資金はその使途(出)の部分だけではなく、同時に、その収入(入)の部分でも、公の資金の性格をもっている。

3.すべての政治団体について1円からの領収書添付を

 以上述べたとおり、政治資金は、本質的に公の資金であり、本来であれば然るべき第三者による調査・監査の対象ともなり得べき性格の資金である。現状において、事実上調査・監査の対象とならないのであれば、少なくとも全額を公開(ディスクローズ)することは、有権者及び納税者の了承を得るための、必要不可欠な要件である。従って、本来、すべての政治団体について1円からの領収書添付を義務づけることが必要なのである。

 これまで政府は、記録漏れの年金受給には、支払い者が支払いを証明する記録書類が必要である、としてきていながら、政治家だけは、自分の資金使途についての領収書なしで済ませることなど許されない、というのが多くの国民の声である。地元でも、多くのそうした意見を聞く。全政党は、この声にしっかりと耳を傾けるべきである。政党そのものが、巨額の政党助成金をその財政的基盤にする、公の存在なのだから。

(注)「資金管理団体」とは、政治家が政党から受ける寄附及び自らする寄附の上限が緩和されている政治団体である。選挙前一定期間でも、自らの資金管理団体には寄附ができる。こうして寄附の入りが緩和されている点を除いて、何ら他の政治団体と変わるところはない。従って、領収書添付の義務を資金管理団体にのみ限定する必然性はないし、透明性確保の観点から見て、それは全く無意味である。