6月26日、ブッシュ大統領は、6カ国協議の合意に基づき、北朝鮮が核計画の申告書を中国に提出したことを受け、北朝鮮に対する「テロ支援国家指定」の解除を決定した(45日後に発効)。
これは非常に甘く、かつ拙速な措置である。
背景には、あと半年の任期の間に、何とかして外交成果を残したいという、ブッシュ政権の意図が働いていることは明白である。
第一に、今回の核計画の申告内容は、6カ国協議(2007年10月)で合意された「完全かつ正確な核申告」からは程遠いものである。
第二に、この申告内容を検証する方法については、確定されていないどころか、議論もされていない。指定解除まで45日間しかないということを考えると、実質的に検証を行う時間はない。
第三に、現体制の維持が唯一の目的である北朝鮮にとって、交渉の切り札は「核の保有」であり、こうした前段階の措置は取っても、結局は核を手離さないおそれも大きい。今回の申告書からも核兵器の数は除外されている。
我が国政府の米国に対する希望的観測も裏切られることとなった。
「核問題の進展」なくして、指定解除はないとの期待は、いともたやすく置き去りにされた。
その伏線はあった。
北朝鮮が米国に促される形で、6月11~12日に日朝協議が行われ、『北朝鮮の拉致再調査・「よど号」犯の引渡しと日本側の制裁一部解除』が合意された。
これも失策であるが、日本側が「一定の前進」と、合意を評価するや否や、米国は指定解除に動いてしまった。
しかし、今あるのは、北朝鮮側のあくまで「言葉」だけであって、拉致の再調査は、これから本当に行われるのか、又、どういう調査結果が出てくるのかは、まだ何ももわからない段階なのだ。
拉致問題とは、日本国に対する「主権の侵害」である。 国民の生命の安全を保障することそのものが「主権」の根源的な意味であり、それを拉致によって犯された以上、それは一国に対する、ゆゆしき主権の侵害である。これが米国民であれば、間違いなく米国は開戦に踏み切ったであろう。
その拉致問題が何の進展も見ないままの、テロ指定解除を納得できる日本国民はいないであろう。