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公益法人改革 ―省庁との癒着を断ち切るべし

text by

小泉龍司

2008.09.18

 「公益法人」は、営利を目的とせず、公共的な価値の実現を目的として設立が認められる法人であり、その収益事業への課税(法人税)が軽減されている。
この「公益法人」が省庁OBの天下りの受け皿となってしまっている、という実態がある。これに加えて、天下り先の公益法人が所管官庁からの発注事業を随意契約で受注したり、補助金を受けるという構造が、これまで長い間、温存されてきている。
 我が国の公益法人は全体で2万5,000。このうち国が所管する公益法人は6,776法人。そのうち1,974法人が国や独立行政法人から支出を受けており、その総額は約1兆円にのぼる。

 他方、国所管の3,049法人に8,054人にのぼる省庁OBが理事として天下っている。そして、省庁OBが天下っている公益法人の年間の平均受注額は、一般の公益法人よりも顕著に大きい金額となっている(OB在籍;3億6,600万円/OB在籍なし;4,700万円)。
 また、国が随意契約を結んでいる公益法人の約8割にOBが在籍している。因みに随意契約の平均落札率は98%であり、一般契約より12.4%高い水準にある。

 こうした実態は何を意味しているのだろうか?
 端的に言えば、公益法人が省庁OBの天下りの受け皿となり、その省庁OBの人件費を、割高な随意契約による国発注事業で、所管官庁が補てんしているということである。
 もはや公務員ではない省庁OBに対し、事実上、国の税金を使って、その人件費(給与)を支払っていることになる。なかなか受注が受けられない、OBが在籍しない公益法人の立場に立てば、「不公正な行政運営」であるが、事はそれにとどまらない。
 国民・納税者の立場に立てば、これは税金の不正流用であり、ただの「無駄使い」では済まされぬ違法な行為である。そして、こうした違法な支出を含む、国所管の公益法人に対する支出は、1兆円に上る。

このような、癒着の構造を決して許してはならない。
 国民への負担増の議論が政府・与党内でしばしば聞かれるようになってきたが、「1円たりとも税金の不正流用は許さない」という覚悟は、一向に伝わってこない。

 納税者は納得しないであろう。いや、決して納得してはいけない。
 国全体が非常に厳しい状況に立ち向かっていかなければならない時に、不正・違法行為 ーしかも政府自身によるー を断ち切ることができないのであれば、政治は国民に対し、何らのリーダーシップも発揮できなくなるであろう。
そのことによる損失も、国民はまた、負わねばならないのだ。