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<介護スタッフ、一年間に2割離職>−待遇改善が急務−

text by

小泉龍司

2008.09.25

 先日、財団法人・介護労働安定センターの調査により、離職者が多く人材難に陥っている介護職の実態が明らかになった。この調査によれば、一年間(06月10月~07年9月)に、介護職員の5人に1人が退職し、またそのうち勤務期間が3年未満の職員が75%を占めていた。
 介護の現場に就職する理由としては「働きがい」(56%)が、一方、退職する理由としては「仕事の割りに賃金が低い」(49%)が最も大きなウエイトを占めている。働きがいを求めて就職した介護職員が低い賃金水準に将来の生活への不安を抱き、他の職場に転職していく実態がはじめて統計的に裏づけられたと言ってよい。
 介護サービスの事業者に支払われる介護報酬は、03年度と06年度の過去2回の介護報酬・改定時に、いづれの年もマイナス改定が行われてきており、これが介護職員の低賃金を固定化する最も大きな原因になってきた。
 ちなみに、全国市長会のアンケート調査(本年4~5月)によれば、36.5%の市が介護職の人材確保は「困難な状況にあり、深刻な課題」と回答している。
 ただし、介護報酬の引き上げに関しては、「報酬を職員に適正に配分する仕組みを整備した上でなければ引き上げない方が良い」との回答が51.4%に達していた。この背景には、介護報酬の引き上げが市町村の財政負担増になるという事情に加え、介護報酬の配分に際し、一部の経営者が職員に配分せず、報酬を独占しているケースもあるとの指摘がある、といった事情もある。
 介護保険制度は、来年度(09年度)3回目の見直しの時期を迎える。こうした実態調査を踏まえ、介護報酬の総額の増額とそれを介護職員の待遇改善に結びつける具体的な措置、そのための制度見直しが急務である。
 若者から、「介護」という尊い仕事に働きがいを求める温かい志を奪うと同時に、高齢者の方々からは、介護の大切な担い手を奪っている現在の介護制度。その欠陥を早急に解決することこそが、来年度に向けた介護保険制度見直しの最も本質的な課題である。