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第2次補正予算案の早期国会提出を

text by

小泉龍司

2008.11.19

 世界的な金融危機が実体経済を直撃しはじめた。トヨタ、日産など自動車メーカーはいち早く、大幅な減産を決定し、有期契約社員や派遣労働者の削減をはじめている。
 地元のある資材メーカーに先日伺ったが、工場長さん曰く「今回の景気の落ち込み方は、非常にスピードが速い。通常なら景気の落ち込みが、我々の資材の分野にまで波及してくるのに半年や1年はかかるのだが、今回は、金融危機の発生後すぐに影響が出てきて、うちの工場でも、先日、県内のある開発プロジェクトの中止により、年間受注額の2か月分がキャンセルされてしまった・・・。」
 消費者マインドも急速に冷え込んでいる。百貨店の売り上げは、今年3月以降、前年を下回るようになり、先月の10月には前年同月比マイナス6.8%となり、百貨店業界は「非常事態だ」と受け止めている。
 今回の景気の落ち込みの特徴は、そのスピードの速さであることが明らかになってきた。

 他方、10月30日に第2次補正予算の編成方針を発表した際、麻生総理は、以下のように述べている。
 「第二、中小企業金融対策であります。これから年末にかけて、中小企業の資金繰りは苦しくなります。第1次補正予算で緊急信用保証枠を6兆円としましたが、その後の国際金融情勢がより厳しいものとなっております。中小企業の資金繰りをより万全なものとするために、私の指示で20兆円までこの枠を拡大します。また、政府金融のいわゆる緊急融資枠を3兆円と前回しましたが、これを10兆円まで拡大します。合わせて30兆円の対策となります。」

 中小企業の年末の資金繰り手当てを大きな柱とする、第2次補正予算案を、なぜ政府は、この臨時国会に提出しようとしないのか?
 政府与党の大勢は、第2次補正予算案の国会提出は年明け1月の通常国会にするべきであると主張しているが、それでは、この対策の柱である中小企業金融対策は全く意味をなさなくなる。
 実体経済はかってないスピードで落ち込んでいる。そしてその影響が最初に及ぶのが中小企業であり、派遣労働者などの非正規雇用者である。
 急速に冷え込む実体経済を少しでも下支えし、中小企業とその雇用者への痛みの拡散を和らげなければならない。そのための年末の資金繰り対策として策定した措置を年が明けてからの国会に出すという……政府与党は何を考えているのか。結局は、国民のことを真剣に考えていないのだ。「政局よりも政策を」と言いながら。
 「危機」なればこそ、政党にとって有利不利という損得勘定を捨てて、国民生活のみを視野に置いた政権運営を望む。国民はそれを見ている。政権運営の「真剣さと誠実さ」を。麻生総理に、早くそのことに気づいてもらいたい。
 同様に、金融機能強化法改正案の採決(の引き延ばし)を人質に、第2次補正予算案の提出を政府に迫っている民主党にも問題がある。
 政権交代を期するならば、自民党との違いを見せて欲しい。しかと国民に殉ずる姿勢を。