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直ちに国会議員の歳費を削減し、政治の覚悟を示せ-時給1万円以上相当の歳費を50%カットすべき-

text by

小泉龍司

2009.04.16

(1)我々は今、日本経済の規模が一年間で、10%以上収縮するおそれがあるという、戦後最大の経済危機を迎えている。そして、政治には、この危機に立ち向かう強い覚悟が求められている(前稿「2つの数字が、政治に求める本物の覚悟」を参照)。
 昨年度の第一次補正予算、第二次補正予算、今年度の当初予算、そして今月末にも国会に提出される予定の今年度の補正予算と、政府は4回にわたり、経済対策を打ってきたが、これらの措置が萎縮する国民のマインドを変えることはできないであろう。その結果、対策の効果も短期的なものになってしまうおそれが大きい。

(2)それは、これらの経済対策に、大切な二つのメッセージが欠けているからである。
 一つは、累次の経済対策により、日本の経済・社会構造をどのように変えていくか、もっと端的に言えば、日本をどのような国にしていくのか…という、わかりやすい、国民が納得できるメッセージが示されていないという点である(この点については、稿を改めて述べさせて頂きます)。
 もう一つは、政治は何としても、新しい日本社会への転換を実現するのだ、という強い覚悟を、目に見える形で国民に示していない、という点である。

(3)非正規雇用労働者から正社員へと解雇の波が広がり、企業倒産が急増し、税収も大幅に落ち込む中、国民の生活水準も担税力も大幅に低下している。そうした状況の中で、国民の代表たる国会議員がこれまでどおりの歳費を受け取る感覚が私にはわからない。
 国民の生活水準と担税力が急速に低下しているのであるから、まず、国会議員自らが歳費を半減し、経済再生の覚悟を国民に示すべきである。しかしながら、与野党を問わず、国会の中からは、こうした議論は一切聞こえてこない。
 歳費削減を議論する場である、衆参の議院運営委員会においても、まったく議題には上がっていない。
 政治が国民と共にあるのならば、身をもってこの難局に当たる気概と覚悟を示さねば、国民はついてきてくれない。

(4)そもそも議員歳費の1割カット(02~04年)を打ち切り、歳費の水準を元に戻したことが誤りである。当時、景気が回復してきたということが歳費1割カットを止める理由とされたが、あくまで景気回復というのは、マクロの数字の上だけのことで、地方や中小企業には何の恩恵も及ぼさなかった。
 私は、当時歳費を元に戻すことに対する反対論を党内で主張し続けたが、残念ながらほとんど賛同者がいなかったことを記憶している。しかし、その中でごく少数集まった仲間とともに、議員及び公務員の給与削減を実現する議員連盟を設立し、私が事務局長になって、党内及び政府に対し、懸命に働きかけを行った。
 最終的にこの議員連盟参加者は約50名にまで広がったが、その直後、政局は郵政解散へと動き、我々の動きもそれにより止められてしまった。

(5)国会議員の歳費は、年間2,200万円である。国会議員の年間の総勤務時間が仮に2,200時間とすれば、時給1万円ということになる。
 仮に、週休2日で1日8時間働くと年間の総労働時間は2,000時間になる。国会議員は、もっと忙しそうである。もっと働いているように見える。しかし、国会は通年開かれているわけではない。そして、週末あるいは国会休会中、地元に帰った国会議員は何をしているか?多くの国会議員のホームページを見て頂くと明らかなとおり、支援者への挨拶回り、お祭りや運動会やセレモニーなどへの出席が、地元活動の中で大きな割合を占めている。
 確かに地元の有権者と触れ合うことは大切なことである。しかし、果たしてそれは、本質的に歳費をもらうべき「公務」だろうか?むしろそれらは、「選挙運動」の要素が強い、言わばプライベートな活動ではないか。
 そうした活動間を除いた「公務」に、国会議員はどれほどの時間を費やしているのだろうか?客観的な調査は行われていないが、今述べた地元での「選挙運動」と選挙区と国会間の往復の「移動時間」に、国会議員は相当の時間を費やしていることは間違いない。
 年間2,000時間以上「公務」…国会への出席、政党内の政策議論、諸問題の実態調査、資料収集、関係者との面会など…を勤めている議員は、おそらく閣僚以外そう多くいないのではないか、と思われる。
 年間2,200時間、公務に携わったとしても、時給は1万円ということになるが、上記のように考えてみると、国会議員の歳費は実質的に見て間違いなく時給1万円以上である、ということになる。

(6)従って、歳費を半減させよという私の主張には、合理的な根拠がある。反対理由を挙げられる政治家は、おそらくいないであろう。
 与野党を問わず、早くこの問題に正面から取り組み、この難局に国民と一体となって立ち向かう、覚悟を示してもらいたい。
 国民は、政治のこの姿勢を待っている。その姿勢があってこそ、はじめて政治に信を託そうと思うのだ。
 なかんずく国全体が戦後経験したことのない難局に向かう時。政治全体が覚悟を示すべき時は、今をおいて他にない。