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「世襲政治」に明確な歯止めを

text by

小泉龍司

2009.04.24

(1)世襲制限を次期衆議院選挙のマニフェストに盛り込むかどうか、で自民党内がもめている。
 安倍総理と福田総理が、2代続けて任期を全うできなかったことをきっかけとして、世襲批判が聞かれるようになった。
 確かに個々の世襲政治家の中には、立派な方も多いが、日本の政界を全体として見た場合、すでに「世襲」は常態化しつつあり、これに何らかの歯止めをかけなければならない状況に来ていると考えられる。
 特に、自民党内の世襲議員の割合は、3分の1を超えており、また麻生内閣の17人の閣僚のうち11人が世襲である。

(2)選挙には「地盤・看板(知名度)・カバン(資金)」が必要であると言われる。このいずれについても、世襲候補は非常に優位な立場にある。親の後援会を引き継ぐことができ、知名度も高く、また親の政治資金は無税(相続税なし)で引き継ぐことができる。
 「公平な社会」を作るための政治家を選ぶ選挙は、他の何よりも、まず「公平」であるべきだ。
 (政治家2世3世の人達の)「職業選択の自由」を制限することになる、との反対論も聞かれるが、「個人としての自由」と「公=社会の仕組みの公平性」と、そのいずれを優先させるべきか、いうことについては、政治家たらんとする者ならば皆、当然心得ているはずである。

(3)アメリカ(ブッシュ家やケネディ家)やイタリアには一部世襲政治家がいるが、これほど世襲政治家が多い国はない。特に小泉総理、安倍総理、福田総理、そして麻生総理へと、4代続けて世襲政治家が一国のリーダーになった国は世界中にどこにもない。
 我が国の政治はバブル崩壊後、長期間にわたり「経済格差の拡大」を見逃してきた。そしてワーキング・プアの問題に代表される「貧困」の問題を見落としてきた。そのことと、政治の世襲化が進んでいることとは、決して無関係ではないと思われる。
 芸能界をはじめとして、いろいろな分野(職業)で世襲や学歴の再生産と言われる現象が起こり、それらがまた経済格差の拡大や固定化を助長する要因になっていると考えられるが、そもそも、それらを是正すべき政治自体が、その流れの中で世襲化に傾いているということに、多くの国民は、本質的な違和感と危惧の念を抱いている。そう断じても、大きな誤りはないであろう。
 この機を逃さずに、各党は世襲制限の具体化を急ぐべきである。