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「したたかな国、日本」―日本再建への道―

text by

小泉龍司

2009.07.17

 あの郵政事業から4年目の夏を迎えた日本。この4年間に日本の社会は大きく変質し、そのことを反映して政治の世界にも大きな地殻変動が起きようとしている。この4年の間に、日本には「貧困」の問題を抱える格差社会が出現し、また、格差社会を救うべき社会保障の「セーフティーネット」は破綻の危機に瀕している。アメリカ型社会をモデルとする小泉元総理の「構造改革」がこの結末をもたらしたことが、次第に国民の目にも明らかになってきた。強い者に自由を与え、「弱肉強食」を進める「自由競争」と「規制緩和」。国民がともに支え合う「セーフティーネット」を否定する「自己責任」。美名の下に進められた小泉構造改革は、ワーキングプアを生み、都市と地方の格差を生み、医療崩壊をもたらした。

 「構造改革」で忘れられたもの ― それは「人」の存在である。そして今、我々の見習うべきは、ヨーロッパ諸国の「ダブルスタンダード」である。ヨーロッパ諸国は表向きアメリカの「グローバリゼーション」による市場原理主義に同調するように見せかけるが、実は、内政についてはしっかり「人」=「国民」を守る政策をとり続けてきた。社会保障、雇用の安定を重視し、農業を重視し、環境問題を重視してきた。ヨーロッパ政治の根底には「人」がある。我々は、20世紀、戦いと協調を通じて緊密すぎる関係を築いてきた日米関係の他に「もう一つの国の作り方」=ヨーロピアン・スタンダードを真剣に学ぶべき時を迎えている。アメリカとの協調は維持しつつも、「アメリカ一辺倒」から卒業しなければ、この国の将来はない。そして、ダブルスタンダードも辞さない「したたかな国、日本」を目指すべきである。日本の再建はそこから始まる。私はそう確信している。