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臨時国会召集(10月26日)を来週に控えて

text by

小泉龍司

2009.10.23

 民主党を中心とする新しい連立政権にとって、事実上初めての国会の舞台となる秋の臨時国会が、来週26日に召集されます(会期は11月30日まで)。
 新政権が発足して早や1ヵ月余り、意思決定方法の変革(脱官僚)と、政策指向の転換(コンクリートから人へ)が、スピード感をもって進められ、個々に問題はあるにせよ、多くの国民に歓迎されながら新政権がスタートを切ったことは、喜ばしいことです。
 多くの国民が日々、目に見えて変わる政治の景色の変化に、「政権交代」を実感しているのだと思います。
 政治と社会の閉塞感が打ち破られつつある・・・そうした期待も湧き上ってきているのだと思います。
 しかし、私はこの秋の臨時国会が新政権にとって極めて重要な、だからこそ慎重に事を運ぶべき場面であると感じています。その理由を簡潔に2つだけ述べたいと思います。

(1)民主党は言わば「マニフェスト政党」として、政権の座についた。だからこそ、マニフェスト遵守は絶対的な課題である。
 しかしながら、マニフェスト政治の本家であるイギリスでは、マニフェストは何年もかけて多くの国民の声を実際に聞いて、オープンな形で作成されている。民主党のマニフェストが党の独断で作られたとは思わないが、しかし、すべての項目が幅広い議論のすそ野を持ちつつ作られた訳ではない。
 例えば、子ども手当てがなぜ月額2万6000円なのか?なぜ所得制限しないのか?といった基本的な疑問点について、まだ我々は知らされていない。
 国民の目から見て、議論が未成熟な項目がマニフェストには含まれており、これらの項目の扱いをどうするか、ということについて、新政権は熟慮すべきである。

(2)税収が急速に落ち込む中で(昨年度当初見込に比べて10兆円近い落ち込み)、逆に来年度に新たに約7兆円(その後、再来年度以降にはさらに約10兆円)の新規財源が必要になるというマニフェストの縛りは、財政規律の維持に対して大きな重荷となっていく。
 今年度の補正予算を約3兆円削減したのはよいが、その分を、今年度の国債減額に当てるのではなく、国債は麻生内閣が予定していたとおり44兆円発行し、差し引き浮いた分を来年度に回すというやり方は、事実上、来年度予算に使う3兆円分の国債を前倒しで今年度発行するということに等しく、胸を張れるやり方ではない。
 いずれにせよ、今年度以降は、国債発行額>税収という、戦後はじめて税収より借金が多い予算になっていくことはほぼ確実である。
 国債にまだ買い手がいるだろうか。国債の買い手が減れば、国債の金利が上がり利払いが膨らんでいく(1%の金利上昇で初年度1.6兆円利払いが増加)。
 このように、財政運営はいきなりがけっぷちに立たされているからこそ、足を踏み外さないように、極めて慎重に来年度予算編成を進めてもらいたい。

 国民の大きな期待があるからこそ、以上の2点を踏まえて、新政権には功を焦らず慎重に、一歩一歩足元を見て着実に進んでもらいたい。
 これは、私だけの願いではないと思う。

 (お願い申し上げます) 選挙後、ホームページ上においても、御礼のご挨拶を申し上げることが、公選法上、禁止されています。
 ご説明が大変遅くなり誠に恐縮に存じますが、何とぞこの点について、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げる次第でございます。