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理念は正しい ―鳩山総理の所信表明演説―

text by

小泉龍司

2009.10.27

(1)10月26日(月)に臨時国会が召集され、鳩山総理の所信表明演説が行われた。
 政権交代後はじめての所信表明演説であり、内外の注目を集める中、約50分間にわたり演説が行われた。

(2)理念は正しい。
 今回の演説では、既に詳細がマニフェストに記載されている政策の内容ではなく、明らかに「政治理念」に重きが置かれていた。
 「いのちを守り、国民生活を第一とした政治」
 「支えあいという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務です。」
 「まず何よりも、人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治」
 「人間のための経済」「『架け橋』としての日本」
 といった表現が使われていたが、その中で核心を突く言葉は、「新しい公共」の概念である。
 「『新しい公共』とは、人を支えるという役割を、『官』と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに、地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。」
 これまで「官から民へ」というキャッチフレーズ政治の中で、「官」と「民」、その対立軸にのみ、国民の意識が向くように仕向けられてきたが、官であれ民であれ、これらが主体となって担うべき役割、目指すべき方向として、効率性や収益性では計れない「新しい公共性」(パブリック)という価値観があるのだということを、はじめて国会の場において明確に打ち出したということは、非常に重要なポイントである。
 「脱官僚」の後、この国はどこへ向かうべきか、その方向が示されていないことが、民主党政治のウィークポイントであると感じていたが、この点に一つの答えを提示した演説であった。
 「理念」は正しい。あとは具体論である。