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日本の社会をどう変えればいいのか(4)―経済2極化の実態:グローバル経済圏企業とドメスティック経済圏企業―

text by

小泉龍司

2010.10.06

1.小泉内閣の時代、2001~2006年までの5年間、日本の輸出は年平均10%の伸びを示した。
 日本のGDPに占める輸出の割合は約20%である。経済全体の5分の1の部分(輸出)が10%ずつ伸びたのであるから、当然、経済全体としては5分の1×10%=2%の成長が実現することとなった。
 景気の実態は別として数字として見れば、小泉内閣の時代には、「いざなぎ越え」と呼ばれる息の長い景気回復が続いたということになっている。


2.しかしながら、「国内経済」を、経済拡大を続ける新興国を含め、海外との取引関係がある「グローバル経済圏企業」と、市場が国内に限られている「ドメスティック経済圏企業」に区分してみると、本当の経済の姿が現れてくる。
 2002~2006年までの両企業群の1人当たりGDP成長率を比較すると、「グローバル経済圏企業」は年率9.5%の成長であったのに対して、「ドメスティック経済圏企業」の特に中小企業はマイナス0.2%の成長率であった(注)。
 輸出企業の輸出が好調であれば、数字の上では経済全体の成長率は押し上げられる。
 しかし、実態は全く異なる。輸出企業の好調は、それにつながらない国内企業には、ほとんど恩恵を与えないのだ。
 かつては輸出関連産業の従業員の所得が増えることにより、国内産業への経済波及が生まれたが、非正規雇用者の増加により、輸出関連企業の雇用者全体の所得は増加せず、従って国内産業への経済波及もないままに終わってしまう。


3.政府の「成長戦略」においても、新興国の内需拡大を取り込むことが重視されている。それはそれで重要なことであるが、今や「国民経済」という言葉は空文化し、日本の経済は大きく分断され、2極化していることを忘れてはならない。
 すでに経済の構造は変質している。新興国の需要を取り込むことで、ドメスティック企業を含めた日本経済全体が押し上げられるわけではない。そのことに十分留意しておく必要がある。
 「内需」そのものに対する本質的な対策。すなわち、これから述べていく、日本の「社会システム」を変更していく作業がどうしても必要な所以である。

(注) 宮本太郎著「生活保障」(岩波新書)P3に、三菱UFJ証券の水野和夫氏の分析として、紹介されている。