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日本の社会をどう変えればいいのか(7)―これからの社会を作る基本理念(価値判断)は何か―

text by

小泉龍司

2010.10.25

1.多くの国民の皆さんが望む社会とはどういうものであろうか。
 この問いに対する客観的な一つの答えはない。
 しかし、お一人お一人の国民の皆さんの胸のうちには、主観的な答が意識的、明示的ではないにせよ、あるはずだ。
 それは一つの価値判断である。
 その個々の皆さんのそれぞれの価値判断を大きく集約し、それを国民に対して明示的に示し、その価値判断を、社会全体を組み立てていく際の大元になる価値判断(理念)として採用すべきか否かを問うことが、現時点の政治に求められている最も大きな使命であると、私は考える。
 20年前以前の時代とは異なり、経済社会を仕組む原理は自明のものではなくなっている。


2.これからの社会を作る基本理念(価値判断)は何か。
 国として「どういう社会を作りたいのか?」という問いは、個人として「どういう人生を生きたいか?」という問いに、ほぼ置き換えることができると私は思う。
 そしてここからは、私の個人としての願い、価値判断であるが、私は次のように願う。

(1) まず、飢えることなく雨露に濡れることがない住まいに住み、病気になれば医者にかかりたい(最低限の生活保障を得たい)。
その中に含まれる願いとして
〇結婚して家族を持ちたい。
〇不安のない老後を送りたい。

(2) 次は、自分が生きているということについて、他者から無視されるのではなく、何らかの注意を払ってほしい。
より端的に言えば、自分の存在を他者に「承認」してもらいたい。

(3) その次に、人生は様々な偶然に左右され得るが、でき得る限り、自らの「努力」が報われたと感じられるような結果を得たい。


3.皆さんにもそれぞれの願いがあると思うが、大きくこれらを総括すると、次のようにまとめられるのではないだろうか。

(1) 最低限の生活保障が確保されること。
(2) 社会とのつながり、社会への「参加」の中で、他者からの「承認」が得られること。
(3) 自らの努力が報われること。

 これを一言で言うならば、「努力が報われる社会」ということになるのではないだろうか。
 これから社会を作るための基本理念を、難しい言葉で語る必要はない。誰もが理解し、納得できるやさしい言葉で語られるものでなければ、「理念」にはなりえない。
 私が国民の皆さんに提示する理念は、以上の内容を含む「努力が報われる社会」である。