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2010年度補正予算の成立(その2)―補正予算に計上された主な項目について―

text by

小泉龍司

2010.12.04

1.重要ではあるが当面の円高・デフレ対策とは言えない医療関係費、農政関係費を除くと、今回の補正予算の主な内容は以下のとおりである。
 
(1)中小企業の資金繰り支援(5616億円

(2)雇用・失業対策(3199億円

(3)自治体への交付金の積み増し(約5400億円

(4)産業政策関連
  〇エコポイント制の基金積み増し(約800億円
  〇レアアース等天然資源の確保(約900億円
  〇イノベーション拠点立地支援事業(約300億円

(5)保育・学校関係
  〇(保育所設置のための)安心こども基金の期限延長と積み増し
   (約1000億円
  〇学校施設の耐震化等の推進(1250億円

 これらのうち(1)~(3)について、以下若干補足する。
 ただし、残念ながらいずれも対症療法的な施策であり、国民の需要を大きく喚起できるような施策は見当たらない。


2.中小企業の資金繰り対策

(1)信用保証協会や日本政策金融公庫において、既応の保証付債務の借換えを促進する。

(イ) 複数債権を一本化し、返済ペースを見直すことにより、月々の返済負担が軽減され、条件変更と同じ効果が生まれる。
(ロ) 新たに据置期間を設けることも可能。これは返済猶予と同じ効果。
(ハ) 金融審査が通れば、ニューマネー(新規貸付と同じ効果)の追加も可能。


(2)零細企業への100%保証(信用保証協会)
 保証協会の保証利用残高が1250万円以下で、かつ従業員が20名以下(商業・サービス業については5名以下)の企業を対象として、100%保証を行う。

(3)セーフティネット保証(信用保証協会)
 特に業況の悪い中小企業等を対象として100%保証を行う。


3.雇用対策

(1) 緊急人材育成支援事業の延長
 雇用保険を受給できない失業者の方々に、無料の職業訓練プログラムを提供し、併せてその期間の生活費(月10万円)の給付を行う事業であり、麻生内閣の時にスタートした。
 事業期間を延期するとともに、職業訓練が修了した後、実際に就職できるようにするため、新たにハローワークに「就職支援ナビゲーター」588名を配置し、職業支援を行う。

(2) 成長分野における人材育成支援事業の実施(新規施策)
 健康、環境分野及びこれらに関連するものづくり分野の生産性向上を図るため、(イ)「期間の定めのない」労働者の雇用(ロ)異分野からの配置転換を行った事業主が、職場以外で職業訓練を実施した場合、訓練費の実費相当(上限20万円)を支給する。


4.自治体への交付金の積み増し

(1)地域活性化交付金(3500億円)
 本年10月8日(緊急経済対策が閣議決定された日)以降予算化された自治体の単独事業について、各自治体に交付する。
 既存の補助事業の対象となっていない事業が対象となり、ハード事業だけではなくソフト事業にも支出できる。
 例示として次のような事業が挙げられている。

(イ) 「きめ細かな交付金」(2500億円)・・・・電線地中化、橋の補修、林道整備、緑化など。
地域の活性化ニーズに対応するきめ細かな事業を支援するという趣旨。
(ロ) 「住民生活に光をそそぐ交付金」(1000億円)・・・・地方消費者行政、DV対策、自殺予防等の弱者対策、自立支援、知の地域づくり(図書館や研究機関の設置)など。
住民生活にとって大事な分野でありながら、これまで光が十分当てられてこなかった分野への地方の取り組みを支援する趣旨。


(2)社会資本整備総合交付金の追加(1854億円)
 基本的には、今年度の予算要求を行った事業の中で、採択もれとなっていた事業に配分される予定であり、新規の事業はカバーされない。