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今こそ政党を超えた「救国連立内閣」を-自民党の真価が問われている-

text by

小泉龍司

2011.03.19

1.今回の大震災により、東日本は阪神淡路大震災の約4倍の規模の地震エネルギーに襲われた。そして悲惨な被災地には、未だに十分な支援の手が差し延べられていない。
 また福島原発も、依然コントロールが効かない事態の中で、原発から周辺地域への放射線漏れが続いている。
 地震の規模も、被害の深刻さもそして、原発事故も、これまで、国も専門家も国民も考えることがなかったレベルの事態に直面している。

2.こうした事態を「想定していなかった」ことの責任は重い。その掌にある者は直接的であれ間接的であれ、その責任を問われべきである。
 しかし、既に事態は起こってしまった。そして、事態はまだ始まったばかりだということも、決して見逃してはならない。
 原発危機の帰趨、被災者の避難・生活支援、東北関東地方のインフラと経済活動の復興、日本を放射能汚染国とみなす諸外国のへの対応、などは、すぐに挙げられる問題だが、この他にも対応が必要な様々なダメージが長く深く日本の社会に及んでいくと考えられる。
 しかし前列のない規模と性格をもつ災害であるために、それを今すぐ正確に予測することはできない。

3.また大震災が起こる以前において、既に日本は「危機」 を迎えていたことも忘れてはならない。国際競争力の低下、少子高齢化による社会保障費用の増大、人口減少による経済の縮小、限界に近づきつつある財政赤字など、非常に重い課題に直面し、国家としての危機にあるとの認識が広がっていた。
 そこに追い打ちをかけたのが、今回の大震災である。この二つの危機が重なり合うことが、国家が衰退に向かう契機になる恐れがあると私は危惧している。

4.こうした我が国が直面する極めて厳しい現実を直視した時、政治はどう動けば良いのか?国民の不安を拭い期待に応えるには、どうすれば良いのか?答はたった一つである。
 全政党と政治家の知恵と行動力を糾合して、日本を救うため事に当たることである。
 それ以外に政治が果たすべき使命はない。

5.しかしなから、自民党の谷垣総裁は、本日午後、菅総理から入閣の申し入れがあったにもかかわらず、これを拒否した。これはまったく理解できない。
 入閣して連立政権を組み、責任を共有することになれば、政府与党の責任を追及できなくなり、ひいては政権を奪取できなくなると考えたのだろう。
 しかし、「責任の共有」こそ、国民が政治に、今最も強く求めていることである。
 自民党の与党時代の災害対策の経験も貴重な資源(ソフト)である。そもそも、同じ小選挙区の民主党と自民党の二人の議員が地元被災地で別々にバラバラに災害対策を行うということが考えられるだろうか?許されるはずもない。
 「現場」に行けば、それは誰にもわかる自明の理である。
 しかし永田町に来ると、その当たり前のことが、判らなくなってしまう。
 政治家が国民ではなく政党に忠誠を尽くそうとするからだ。
 しかし、今や日本全土が「現場」であり、そしてその「現場」では誰も「政党」など必要としていない。

6.全国の地域が被災者の受け入れに動き始めた今、永田町だけが取り残されようとしている。
 自民党にしっかりしてもらいたい。
 長年の政権政党はさすがだと思わせて欲しい。
 党を捨てて国を、国民を守る気概を見せて欲しい。
 それを願っているのは私だけではないと思う、
 自民党の真価が問われているのは、来たるべき選挙の時ではない、今なのだから。