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内閣不信任決議案の採決―被災者を失望させ国民を呆れさせた権力闘争―

text by

小泉龍司

2011.06.02

本日、菅内閣不信任決議案が否決された。

(1) 被災者の苦難をよそに、また、原発事故の収束の目処も立たない中で提出された内閣不信任案には、全く大義がない。
内閣不信任案が可決されれば、内閣総辞職あるいは衆議院の解散総選挙が行われることとなる。いずれの場合にも、国政は大きく混乱し、その間、被災地の復旧・復興は大幅に遅れることとなる。
自民党は、菅総理にリーダーシップがない、動きが遅いと責めるが、不信任決議案の結果によっては、自民党が菅総理を責めている理由そのもの、国政の停滞を引き起こすことは明らかである。
到底、被災者、国民の理解は得られるものでない。
「そんなことをやっている場合か」というのが、多くの方々の声である。

(2) 他方、政府与党にも、この国難を野党の力も借りて、国の総力を挙げて乗り越えて行かねばならないという覚悟がない。
国民の約5割が大連立を望んでいるにもかかわらず、それが実現できないのは、政府与党の責任に帰するところが大きい。
もっと謙虚に、手柄を求めず、腰を低くして、野党に対して「力と知恵を貸してもらいたい」という姿勢をとり、連立を求め続けていれば、期限付きの連立内閣は実現していたと考えられる。
真に国を、被災者を思う力が不足していると言わざるを得ない。
こうした政府与党の真剣さに欠ける姿勢が、野党による不信任決議案を誘発した面もある。

(3) 結局は二大政党の綱引き、権力争いが、今回の不信任決議案の下地にある。

(4) 今、国会議員には、党に所属する国会議員である前に、全国民を代表するべき国会議員であることを深く自覚し、党派を超えて行動する勇気が求められている。そこからあまりにもかけ離れた今回の不信任決議案を巡る騒ぎに対して、私は熟慮の末、抗議の意味を込めて採決を棄権した。
この点についても、どうかご理解を賜りますようお願い致します。