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民主党代表選挙の政権演説会を聞いて

text by

小泉龍司

2011.08.29

(1)まず、聴衆(民主党・衆参国会議員)の中に、寝ている(ように見える)人があまりにも数多くいることが目についた。
 聞いている人の視線に熱意なく、演説後の拍手にも力がこもっていない。会場をどうしようもなく冷めた雰囲気が支配していることを感じた。
 これがこの国難の時に、日本国の首相を選ぶ政権演説の会場かと思うとやりきれなくなる。

(2)演説内容についても、自分の生い立ちに多くの時間が割かれ、肝心の政権構想にはほとんど触れない、または抽象的にしか触れない演説が目立ったが、背景には意見が割れる政策に深入りしない方が得策だ、との考えがあると思われる。
 だとすれば、演説は民主党議員だけに向けて行われ、国民に向けては行われなかったということになる。
 実際、5人の演説を聞いてみても、具体的に何をしたいのか、これまでの内閣と何が違うのかが全く耳に残らなかった。

(3)税と社会保障の一体改革はその典型例だが、国民すべてが賛成しているわけではない政策に言及した候補者は、鹿野道彦氏(税と社会保障の一体改革の必要性)だけであった。

(4)政策については、どの候補者も次のような項目に触れるだけ。

〇復旧復興を第一に
〇国民の生活を第一に
〇デフレ脱却にあらゆる手段を
〇政権交代の原点に帰る
〇地方と中小企業を大切に
〇日米同盟の立て直し
〇円高対策

これでは、何も語っていないに等しい。

(5)国民が知りたいのは、日本が何故うまくいかなくなったのか、その原因である。その原因を語った候補者は一人もいない。
 これこそが日本の政治の根本的欠陥である。
 現在の状況に至り、それを抜け出せない原因を突き止めずして、的確な処方箋は絶対に出てこない。
 その努力を怠り続けていることこそ、「日本政治の罪」であり、政権政党がまさにその罪を犯していることが、図らずも明らかになった場面であった。