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日本の社会をどう変えればいいのか(22)―社会構造の変化に気づかぬ政治への国民の冷めた反応―

text by

小泉龍司

2012.04.09

1.先の回で述べたとおり、中産階級の没落(中流の喪失)や生活意識の下方へのシフトといった急速な社会構造の変化に、日本の政治はあまりにも鈍感である。
 政権交代時に一時高まった問題意識も、いつの間にか冷めてしまった。
 その一番の証拠が、政府・民主党が議論し、法案提出の準備を進めている「税と社会保障の一体改革」である。そこには、低年金者への年金上乗せなど、対症療法的な形の施策はあるが、格差と貧困問題を正面から捉え、これに対置する形で、失われてしまった我が国の税及び社会保障の「所得再分配機能」をどう整えるか、という視点が全く抜け落ちている。
 個々の政策ではなく、個々の政策によって社会の構造をどう変えるか、という問題意識が欠落している。
 税と社会保障の一体改革の内容について、野党からの実質的な反応はまだない(現時点ではマニフェスト違反だという理由で、法案提出前の与野党協議を拒否)が、上記のような視点や問題意識は、政権を担当している時の自民党にもなかったし、自民党が来年度税制改正法案について、相続税の増税に反対したことから見ても、所得再分配政策にシンパシーがあるとは思えない。

2.こうした2大政党の認識能力について、震災後しばらくの間は有権者も大目に見ていたのかもしれないが、次第に冷めた目を向けるようになってきた。
 国会中継でも、与野党が「批判と正当化の議論」を繰り返すばかりで、肝心のことを議論してくれない。震災対応すら、与野党が真に協力姿勢をもって進めたとは、国民の目には映っていない。
 こうした中で、2大政党の支持率はともに下がり続け、現在では民主党、自民党いずれも13~14%の水準(毎日新聞3月4、5日実施)にまで落ち込んでいる。
 特筆すべきは、次回選挙後の政権の形についての世論調査結果である。
 読売新聞の2月10~12日の調査によれば、次期衆院選後の政権の形として望ましいのは、民主党中心の政権5%、自民党中心の政権9%、民主自民の連立政権23%、政界再編による新しい枠組み53%という結果になった。(注)
 この結果を見る限り、これまで試してきた自民党中心の政権、民主党中心の政権ではもうだめではないかという答えを抱きつつ、有権者の視線は、政界再編、あるいは第3極(大阪維新の会・石原新党)・・・未だその形ははっきりしないが、しっかりと国民の実相に目を向けてくれる、社会の構造を変えてくれる政治パワーに向けられ始めている。

(注)3月23~25日に日経新聞とテレビ東京が共同実施した世論調査結果でも、
民主党 6%  自民党 9%
民主自民の連立政権 28%  政界再編による新しい枠組み 47%
と、ほぼ同様の結果が出ている。