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期待される「賃金の引上げ」―新春のご挨拶に代えて―

text by

小泉龍司

2014.01.01

1.平成26年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
 旧年中は、本ホームページをご覧頂き、誠にありがとうございました。また、地元各地でも、大勢の皆様方に大変お世話になりました。心より厚く御礼申し上げます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 さて、本年は「エネルギー基本計画」(原発の位置付けを決める)の閣議決定、TPP交渉の最終妥結、普天間基地移設を争点とする沖縄・名護市長選挙などの政治問題に係る動きが、年初早々から連続して始まります。東京都知事選挙の投票日も2月上旬になりそうです。
 こうした数多くの本年の政治課題の中で、経済分野における最も大きな問題は、本年4月の消費税率の引上げと、それに伴う個人消費の動向、その結果としてのアベノミクスの成否であると思います。

2.外れたデフレストッパー

 一般にどこの国でも、賃金は下がりにくいと考えられてきました。そして、この賃金は下がりにくいという特徴こそが、戦後に先進国がデフレを経験しなかった最大の理由でした。
 しかしながら日本では、1998年から賃金が下がり始め、このデフレストッパーが外れてしまいました。
 サラリーマンの給与のピークは、1997年の467万3000円(年額)であり、直近では約408万円(2012年)まで減少しています。先進国を見渡すと、10年以上にわたって平均賃金が下落している国は日本以外にはありません。
 日本では、正社員の給与と採用が抑制される一方、非正規雇用が急速に増加することにより賃金の引下げが行われてきました。これを可能にしたのは、小泉内閣時代の「構造改革=規制緩和」です。
 こうした賃金引下げと輸出の拡大により、企業の利益は大きく増加しましたが、その儲けは配当と内部留保に回されました。小泉改革時代、企業の内部留保は100兆円増えましたが、一方でサラリーマンの平均給与は約30万円減少しました。
 小泉改革も、総需要の6割を占める個人消費がこうした分配の歪みにより低迷したため、内需が拡大せず持続的成長にはつながりませんでした。
 
3.過去の教訓を活かせるか

 こうした過去の教訓を活かすことができるか否か。各目賃金が下がり続けるという、世界的に見ると異常な事態を改善できるか否か。より根本的には、主要先進国では制度上認められていない正規・非正規という雇用の「二重構造」を解消できるか否か。
 アベノミクス(=デフレ脱却による経済成長)の成否は、これらの点にかかっています。
 個人消費に大きな負荷がかかり始める本年4月以降、アベノミクスは「金融政策」頼み、「成長戦略」頼みから、「雇用・賃金改革」へと進化を遂げていかなければ、一応の成果はあげることができても、本来のゴールにたどり着くことはできないと私は考えます。
 本ホームページにおいて、今後さらに、こうした問題提起を掘り下げていきたいと考えています。

 本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
 ご家族皆様ともども、健やかに良い年を迎えられますことをお祈り申し上げます。