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少子化が義務教育に及ぼす影響と対応――秩父市立・大滝小学校の閉校に思う――

text by

小泉龍司

2014.04.03

1、創立(明治6年)から141年の輝かしい歴史をもつ大滝小学校が、平成25年度をもって閉校を迎えることとなり、3月29日、閉校記念式典が行われました。
 創立以来、約1万500人の卒業生を送り出してきた大滝小学校は、旧大滝村の歴史とともに歩み続けてきました。
 明治から大正、昭和、そして平成へと長い時代の変遷の中で、多くの卒業生や教職員、ご父兄の皆様にとって、人生の「母校」として大きな心の拠りどころとなってきた同校の閉校は、誠に寂しいことであり、また残念なことであります。

2、近年において、少子化と人口の減少、そして産業構造の変化が教育の現場に大きな変化をもたらしてきました。
 最近では、毎年500校あまりの公立校(小・中・高校)の閉校が続いており、東京23区においてすら、全校生徒の数が1クラスに達しない学校が75校もあります。
 2040年(今から26年後)には、児童の数が半数以上に減ってしまう地方自治体数は、全体の4割に達すると推計されています。

3、これまでの学校の閉校は、1次産業や2次産業から3次産業への産業構造の変化(人を相手とする産業=サービス経済化)やそれに伴う東京への一極集中による「過疎化」が原因となり、主に地方において生じてきた事態でした。
しかし、近年ではそれに加えて、日本全国において進む「少子化」の影響が極めて大きくなり、先に述べたとおり東京においても学校の「小規模化」が急速に進んでいます。

4、こうした状況の中で生じてきた事態が、「義務教育において、今後全国一律の教育水準を維持することができるのか」という問題です。
 少子化が今後さらに進めば、学校をさらに地理的に統合することは困難になります。児童の通学距離・時間には限界があるからです。
 その結果、小規模化した学校が各地に点在することとなりますが、小規模校では生徒数が少ないため、大規模校のように各教科ごとに専任教員を配置することが難しく、一人の教員が複数の教科を受け持たざるを得なくなります。
 しかしながら、教員が専門ではない教科を教えることは現在の教員育成過程では必ずしも想定されていないため、教育の質や水準について学校ごとの格差が広がってくることが大きな問題になりつつあります。
 
5、こうした問題については、複数の教科を教えることができる教員の育成や、授業におけるITの活用などの対応策が考えられますが、これまでのところ、文科省における取組みは必ずしも十分なものではありませんでした。今回改めて、しっかりした問題意識を持ち、具体的対応策に至急着手するよう、強く文科省に要請致しました。