文字サイズ: 小 中 大

米投資会社サーベラスによる西武ホールディングス株式保有問題 ~サーベラス・日本から撤収との見方も~

text by

小泉龍司

2015.06.22

1.2013年3月の時点で、サーベラスは、西武ホールディングス株式の「再上場」にあたっての株式価格を引き上げるために、45項目の『リストラ案』を西武ホールディングスに要求していました。(この『リストラ案』の中には、“西武秩父線等は不採算路線なので廃止すべき”との要求も含まれていました。)
 西武経営陣はこれを受け入れなかったため、サーベラスは敵対的TOB(株式公開買い付け)により、西武ホールディングスの株式の買い増しを行い、経営権の奪取を狙いました。

2.同年4月、私たちは、サーベラスによる西武秩父線他の路線廃止要求を阻止するため、関係者の皆様とともに、西武ホールディングスへの要請、埼玉県への要請、国土交通省への要請等に動きました。
 その中で、最も重要な阻止策は、西武ホールディングスの株式がサーベラスに渡らないようにすることであり、その株式争奪戦において鍵を握るのが、全体の13%のシェアを占める個人株主の方々の動向でした。この個人株主の方々が、地域の生命線とも言うべき西武秩父線他の路線の重要性を認識して下さり、公共性の観点に立って、西武ホールディングス及び西武鉄道を応援して下さることが、秩父線等の存続にとって極めて重要な要件でした。
 このような認識を踏まえ、秩父商工会議所及び上田知事、埼玉県と、私たちが具体的に採り得る方策について鋭意詰めた結果として、秩父商工会議所に中心になって頂き「西武鉄道を応援する会」を立ち上げ、西武ホールディングスの個人株主等に強く、また幅広く訴えかけていく運動を全面的に展開していくこととしました。

3.2013年5月31日を最終期限として、米国の投資会社サーベラスによる西武ホールディングスへのTOB(公開株式買付け)が行われましたが、この運動の結果、最終的なサーベラスの持ち株比率は35%程度にとどまりました(TOB開始前のサーベラスの持ち株比率は約32%)。
 もともと、持ち株比率44%を目標としてサーベラスが仕掛けたTOBでしたが、所期の目的に到達できず、40%のラインも下回る結果となりました。

4.こうして応援する会の会員はじめ沿線住民の皆様のご努力で、西武鉄道を守ることはできましたが、2014年4月に(株)西武ホールディングスが東京証券取引所に上場した後も、サーベラスの持ち株比率は変わっていませんでした。
 こうした状況を踏まえ、「西武鉄道を応援する会」は西武鉄道の維持、発展に向けて、さらなる運動を展開して参りました。

5.その後、2014年4月に再上場が行われてから、本年、2015年5月末までの間に、サーベラスは保有していた西武ホールディングスの株式(持ち株比率は35%)のうち、3割弱を放出したことが明らかになりました。
 市場では、アベノミクス効果により株式価格が上昇し、割高感のある現在のタイミングでサーベラスはさらに西武株を放出し、投資の回収を図るのではないかと見られています。
 また、サーベラスはこの春に事業所規模を縮小しており、『事実上の日本からの撤収』の方向にあるとの見方が強まっています。