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新年のご挨拶

text by

小泉龍司

2017.01.01

 平成二十九年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年は、皆様方に大変お世話になり、心より厚く御礼申し上げます。また本年も、どうかよろしくお願い申し上げます。

(1)昨年は、世界の政治の潮流に大きな変化が起こりました。イギリスのEU離脱の決定とアメリカにおけるトランプ大統領の選出です。
まさにグローバリゼーション発祥の地で、反グローバリゼーションの波が起こったことに、世界は大きな衝撃を受けました。

(2)この背景にあるのは、中間層の反乱だという見方が広がっています。
自由競争や自由貿易の恩恵にあずかるのは富裕層が中心であり、先進国の中低所得者は恩恵を被らないだけではなく、むしろダメージを受けるという事態がその要因であるとされています。

(3)中間層はいずれの先進国でも、相対的に生産性が高い製造業の雇用者を中心に構成されています。
一方で、グローバリゼーションの進展により、先進国の製造業は労働コストの低い海外に移転することとなりました。この製造業・工場の海外移転により、日本でもピーク時は1600万人いた製造業の雇用者が、現在では、1000万人を下回る水準にまで減少しています。その分だけ、安定した雇用の場が減ったことになります。
また、国内に残った製造業の現場においては、労働コスト引き下げのため、非正規雇用が増加しています。
他方で、2000年代から大きく発展したIT産業や金融の雇用吸収力は製造業に比べれば小さく、雇用代替は十分に進んでいるとは言えません。

(4)因みにアメリカでは、不動産と株価の値上がりにより、こうした賃金低下の影響は緩和されてきましたが、それもリーマンショックまでのことであり、その後は、安定雇用の減少や賃金の低下が中間層に大きな痛みをもたらしています。

(5)また、こうしたグローバル化が最も強く影響を与えたのは、若者の雇用です。
アメリカの大統領選挙で、若者の大きな支持を集めた民主党のバーニー・サンダース上院議員は、富裕層への課税により大学や大学院までの教育の無償化を訴えました。

(6)わが国では、アメリカのような桁違いの富裕層が少ないこと、移民の流入が抑えられていることなどにより、アメリカやイギリスのような中間層の反乱は起きていませんが、若者にとっての安定的な雇用の場の減少により、生活の不安定化そして非婚化が進み、少子化に歯止めをかけることが難しくなっています。
今後のアメリカやイギリスの政治状況を注意深く追跡・分析する必要がありますが、我が国においても、グローバリゼーションの進展にしっかり対応するため、世界的に見て最も低い水準にある、税と社会保障の所得再分配機能を高めていくという大きな課題に取り組む必要があります。

(7)来年度予算案では、給付型の奨学金の導入、保育士や介護士の給与アップなどの措置が織り込まれていますが、さらに社会の全体像を奥深くしっかり捉え、適切な税・社会保障制度を早急に構築していくことが喫緊の課題であると考えます。

 本年も皆様方と緊密な交流を重ねる中で、地元の懸案解決とともに、こうした課題に全力で取り組んで参ります。

 新しい年が皆様方にとりまして、幸多き健やかな年となることを心からお祈り申し上げ、新春のご挨拶とさせていただきます。

平成二十九年元旦
衆議院議員 小泉龍司