1.ヨーロッパ出張の経緯
新しい小泉内閣が発足致しましたが、当面の重要課題は年金改革、デフレ対策、そして郵政民営化であると言われています。しかし、私としては、「小泉改革」の総仕上げとして、「国づくり」の視点に立つ政策にも、より大きな重点を置いていくべきであると自民党内で主張しています。
「国づくり」の視点に立つ場合、我々が考えなければならないのは、「国の資産」という考え方です。 景気や社会保障という課題とともに、目には見えないけれども、我々の社会を支えている、そして国の資産とも言うべき「国民の心の健全性(教育問題)」、また「国民の命の保証(環境問題と農業問題)」といった課題に、より大きなウェイトを置いて取り組むべきと考えます。環境問題や教育問題は、必ずしも目に見えるものではなく、またそれに取り組まなくても、日々の暮らしは過ぎていきますが、実はこれらは国と国民の(後世代に引き継ぐべき)極めて貴重な資産となっています。
こうした考え方に基づいて、私は環境政策についての国民の理解をより深めていく必要性を痛感し、環境政策の先進国であるヨーロッパ各国の実情を是非とも研究したい、との希望を仲間の議員及び自民党に対して働きかけ、その結果、与党による欧州視察団が結成されました(9名の衆議院議員、及び環境省審議官)。その一員として9月8日から15日までヨーロッパに出張致しました。
2.ヨーロッパにおける環境政策について
今回は、ノルウエー、オランダ、ドイツの三か国を訪問し、政府、議会関係者、また経済界の方々と面談しました。
各国に共通するのは、環境政策がかなり早い時期(1990年代)に確立しているということです。例えばノルウエーでは、1971年にはじめて環境税が導入されました。また90年代には、エネルギー等を対象とする環境税がこれら各国に導入されています。
環境税の基本となる考え方は、次の4点に要約されます。
- 地球温暖化につながる二酸化酸素を削減すること。
- エネルギー消費の効率性を高めること。
- 環境税の税収を年金等の財源に回すことにより、被用者の負担を軽くすること。
- 直接税から間接税に税収をシフトさせること。
この基本的考え方のさらに根底にある哲学は、「BAD課税」という考え方であり、環境汚染の原因となるエネルギー消費は、その面では社会にとっての悪であり、課税により、これを抑制するという考え方です。その上で企業の国際競争力への配慮(税の減免)、被用者への配慮(年金財源とする)がなされています。
地球温暖化防止のための京都議定書についてロシア政府が批准についての閣議決定を行い、いよいよ京都議定書が発効することが確実になってきました。2008〜2012年の間に、各国はそれぞれの二酸化炭素削減の目標値の実現を義務づけられます。
ヨーロッパでは、既に導入している環境税を中心に、様々な目標値達成のための手段が検討されています。一方我が国では、4〜8年後に迫った目標達成期限に向けて、未だ具体策が採られていません。ただし我が国の場合は、二酸化炭素を吸収する森林整備を行うことにより、大きく目標値に近づくことが各国から認められています。
こうした状況の下で、私は我が国の森林を守り整備する財源として、また広く国民が環境問題の重要性について認識し、具体的に行動してもらうための契機として、ヨーロッパにおける環境税を一つの見本として、具体的に環境税の導入を検討するべきであると考えています。ヨーロッパでは、かなり高税率の環境税が導入され、年金等の財源に使われていますが、我が国の場合、低い税率で導入し、これを森林整備、省エネ機器の開発普及に充てることが適当であると考えます。
もちろん、環境税については反対論もあります。しかし少なくともヨーロッパでは、環境税を巡り15年近くの議論が積み重ねられていることを考えると、我が国でも賛否両論を含め、真剣に議論を深めるべき時期にきていると思います。
もちろん、環境政策は、税の他、補助金や直接規制などの手法があり、その優先順位や組み合わせなど、十分検討しなければなりません。
かねて私が述べているように、ヨーロッパの国々は経済政策を一つの重要な柱としつつも一方で、社会を支える様々な要素、すなわち先に述べた国の資産と言うべき(環境や教育、農業など)をもう一つの政策の重要な柱としているということを今回の出張で改めて確信しました。小泉改革がそうした方向性に向いていくよう、今回の出張の成果を踏まえ、全力で取り組んでいきたいと考えております。
なお、今回の出張報告については、かなり技術的なものになりますが、より詳細な報告書を作成いたしましたので、ご関心のある方は是非ご連絡下さい。


