基本政策

郵政民営化法案をめぐる動き

text by

小泉龍司

2005.01.12

1.経緯

 本年の大きな政治課題の一つとして、郵政民営化の問題があります。
 小泉総理は、今月21日から始まる通常国会において、郵政民営化法案を何としても成立させたいとの立場を表明しています。
 その前段階として、昨年の9月に「郵政民営化の基本方針」を党の了解を得ることなく閣議決定しました。
 その後、自民党ではこの問題を検討するため、「郵政民営化に関する関係合同部会」が設置され、政府からのヒヤリング及び各議員からの意見の整理が行われてきました。
 昨年末、この合同部会において、「郵政改革に関する申し入れ」が取りまとめられ、これが党の正式決定となり政府に申し入れが行われました。

2.郵政民営化についての問題点

 郵政民営化については、現行の郵政公社と民営化会社の間の優劣を論ずる以前に、制度上、次のような根本的な問題があり、かつ、また、これらの点について政府部内でも自民党内でも十分な検討が行われていないのが現状です。
 自民党の合同部会において、多くの議員からこれらの問題点について、指摘が行われてきました。しかしながら、政府からは何ら具体的な回答がなされていない状況です。
 こうした点を踏まえ、私は9月に閣議決定された郵政民営化に関する政府案については、反対の立場を合同部会で、6回にわたり表明しています。

 これまで郵便事業、郵便貯金、簡易保険の3分野で、広く国民にサービスを提供してきた郵政事業を民営化した場合、過疎地あるいは所得の低い方に対して、今後もあまねく、これらのサービスを提供していけるかどうかは、はなはだ疑問です。

 問題点を整理すると、以下のような点が挙げられます。

1. ユニバーサルサービスについて
  1. 過疎地においてもサービスを提供する、といういわゆる「ユニバーサルサービス」については、政府案では郵便事業についてのみこれを義務づけている。その結果、完全民営化が行われれば、人口の少ない地域では貯金業務、簡易保険業務が取りやめられることとなる可能性が大きい。
  2. 簡易保険は職業等の制限がないため、国民すべての方が加入することができるが、民間保険の場合、職業その他の条件が課される場合があり、必ずしも広く国民が加入できるとは限らない。
2. 経営が成り立つかどうか(経営の安定性)

郵政事業を4分割(郵便会社、郵便貯金会社、保険会社、郵便局を網羅するネットワーク会社)した場合、それぞれの経営体が本当に経営的に成り立っていくのかどうか明かではない。

3. 行政改革の視点

郵政民営化により職員が公務員でなくなる、という点が行政改革としてとらえられているが、そもそも郵政3事業に国民の税は投入されていない。

4. 外資による買収の危険性

米国商工会議所は、既に民営化後の各社を買収したいという申し出を政府に対して行っている。郵政事業を民営化し、かつ4分割することになれば、外資が巨額の資金によりこれを買収し、大幅な業務の改編が行われ、その結果、当然地方における事業サービスは縮小されることとなる。
(外資は郵貯・簡保の資金を使って、中国企業を押さえることを狙いとしているという見方が広がっている。)

5. 国債保有の問題

現在郵貯・簡保資金の相当程度が国債の保有に充てられており、その結果国債の安定的な消化が図られている。完全民営化後は、こうした状態が維持される保証はなく、郵貯・簡保が国債を大量に売却した場合、金利の上昇を通じて財政に極めて大きな影響が及ぶことになる。

3.今後の動き

 郵政民営化法案の今通常国会における提出期限は3月末とされており、法案の提出に向けて、今後更に党内での議論及び政府と自民党の間の協議が進められることになります。 今後の状況については、追ってご報告させて頂きたいと思います。